超がつくほど田舎に住むある男が幼馴染に

「殺されるかもしれない」

「いくら時間がかかっても必ず返すから」

と、お金を貸してくれるように泣きついた

男は幼馴染を不憫に思うと同時に彼の言葉を信じて

全ての貯金と何軒ものサラ金を回りお金を工面してあげた

350万円

大半が借金である

小さな子供を2人も抱え

自分では返せないとわかっている金額

でも

貸してあげた

その結果、2〜3度の返済はしたものの

男は妻と離婚し地元から逃げ自己破産を申請

債権者の何人もが異議を申し立てたものの

自己破産は認められた

幼馴染の妻は近所のスーパーでパートをし

夫婦で働いたお金の大半を返済に回している

男の子供と幼馴染の子供は同級生

彼女は幼馴染と別れた妻が買い物に来た時

辛くて思わず

「悪いと思うなら少しでもいいから返して」

と口にしたが

「私は知らない、あいつ(逃げた元夫)が勝手にした借金だから」

「自己破産したのだから関係ない」

と言い放った

片や

夫婦で必死に借金を返し

子供が病気でも薬代がかかるからと我慢する生活

とても貧しい

片や

母子家庭手当に病院は実質タダだから

少しでも何かあったらすぐに病院に行く生活

裕福ではないが貧しくはない

そして

幼馴染の男はといえば

ろくに働きもせず覚醒剤に手を染めているとの噂さえある

番長の知る限りその噂は本当だ

近い将来

何か事件でも起こして逮捕されるだろう

騙された方が悪い

お金を貸すならあげるつもりで

言うのは簡単だ

ただ

人間には情というものがある

仏心というものを多くの人が持っている

そしてまた

悪しき心を持つ人間のクズは確実に存在し

こんな話は日本中の至るところにゴロゴロ転がっている

なんだかなぁ

色んなことを考えると

彼の言った言葉が

何故だか

あながち誤りではないような気さえしてくる

NEET

「働いたら負け」